「タクシー運転手 約束は海を越えて」観想

(シネマート新宿/2018.4.30)

 

「タクシー運転手 約束は海を越えて」を観た。

klockworx-asia.com

 

素晴らしい映画だった。

 

この作品も重かった(「入り」はとても軽かったのに)。

しかしこちらは「事実を『基にした』」作品。

思いっ切り(CGバリバリ)のフィクションでもない、

「事実は小説より奇なり(重し)」のドキュメントでもない、

事実とドラマの素敵な融合。

 

まずとにかく、ソン・ガンホが素晴らしかった。

オープニングのシーンでまず彼(キム・マンソプ/ソン・ガンホ)を好きになったし、

終わりまでずぅっとブレずに全力でまっとうしていた。

彼だけじゃなく「タクシー仲間」となったユ・ヘジンも良かった。

(お笑いの誰かに似てるんだよなぁ。)

 

「ラッカは静かに虐殺されている」でも思い知らされたことだけれど

韓国でこんなことが過去に起きていたなんて全然知らなかったし、

それこそ「ラッカは静かに虐殺されている」とも通底する内容でもあった。

(そして、近い将来日本でも(今更)起こる可能性もあるんじゃないかとも思った。)

 

このような過酷な時代、社会に生きた(不幸にも命を落としてしまった)

ということは、一体どういうことなのだろう。

幸いにもそのような極限の状況に身を置くことなく歩んだ

自分には、なかなか受け止めきれない。

 

そして本当にわたしはモノ知らず、世間知らずだなと思う。

 

韓国映画(も)、力あるなぁ。

アメリカとは全然違った次元だけれど、(最近観た韓国映画に限るけど)

リアリティのある描写が本当に巧いと感じるし

ヒューマニズムの描き方がいいんだよなぁ。

アツいの。アツいんだよ。で、それがまたいい。

 

で、この作品も、(さっきも言ったけど)

悲しい、でも素敵な事実があって、それを巧みな映画手法で

見事なドラマに仕立て上げている、っていう感じ。

 

いやホント見事な作品でした。

今年は素晴らしい映画を観ることが出来ているけれど、

その中でも上位にランクイン。みんな僅差だけれども。

 

これも観るべし。